林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」(松阪市文化財センター第3ギャラリー)

2018年05月19日(土) 林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」(松阪市文化財センター第3ギャラリー) (車、徒歩)

本日は松阪市文化財センターの第3ギャラリーで開催されている(投稿時にはいた)林隆久写真展を訪れた。その写真展のタイトルは伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」だった。

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

 

鈴の森公園(松阪市外五曲町)からこちらのゲートをくぐろうとすると

松阪市文化財センターはにわ館のゲート

松阪市文化財センターはにわ館のゲート

 

その柱にはギャラリーでの展示内容が案内されていた。

松阪市文化財センター ギャラリーの催し物案内

松阪市文化財センター ギャラリーの催し物案内

 

ゲートをくぐると「はにわ館」への通路へ向かった。ここは元カネボウ綿糸松坂工場の赤煉瓦倉庫(登録有形文化財)であり、この赤煉瓦倉庫に沿ってさらに奥へ進むと

松阪市文化財センター ギャラリー

松阪市文化財センター ギャラリー

 

一番奥にある入口が今回の目的地である第3ギャラリーである。

松阪市文化財センター第3ギャラリー

松阪市文化財センター第3ギャラリー

 

第3ギャラリーの入口にはこちらの写真と案内板が立ち、私を迎い入れてくれた。

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

 

受付を済ませると林隆久からご挨拶をいただき、写真展についてさらには私の疑問点などにもご説明をいただけた。こちらの挨拶文のあるように林さんは2002年に中野晴生さんの写真展で伊勢和紙の透過光による表現と雰囲気に感動を覚え、2007年に「伊勢和紙プリントの会」に入会してからはご自身で大判の伊勢和紙に印刷するなど写真ライフを楽しんでおられる。さらには写真クラブ「たまき」の代表であり、日本風景写真協会にも所属している。

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

 

【参考】

 

また、伊勢和紙に関してはご自身の作品を印刷するだけでなく、3月〜4月に伊勢和紙ギャラリーで開催された「The Land and the People ペルナッカ スダカラン作品展」にて写真のセレクトおよびプリントに携わっていた。

【参考】

 

このように林さんは伊勢和紙への印刷や展示に精通された方である。

 

広い第3ギャラリーの中央には可動式の壁があり、その壁の端に掛けられた「真実の口(ライオンの口)」の写真が門番のように左右を仕切っていた。

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

 

その左側には雄大な「憧れの山々」が展開されていた。

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

 

先ほどの門番を越えて隣の空間へ移動すると

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

 

右側には「ヴェネツィアの印象」が展開されていた。印象が全く異なる空間となっていた。

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

 

「ヴェネツィアの印象」の写真は林さんが長女の海外挙式で訪れた際、2日間のなかでかなり限られた時間で撮影したものだった。印象的な写真が多く、なかでも入口付近には「ウェディング姿の花嫁」の写真と「階段」の写真が並べて展示されていたが、この二面はかつて伊勢和紙ギャラリーでの写真展で別々の場所に展示されていたものだった。ところが、今回訪れた方から伊勢和紙ギャラリーで観た「階段の上るウェディング姿の花嫁」の写真が印象的だったとの感想をいただいたとのこと。しかもそれがひとりでは無く二人の方から・・・。つまり、そのお二人は別々の場所に展示されていた写真を自分なりに合成して「階段の上るウェディング姿の花嫁」を作りあげていたのだった。今回の写真展で最も感動的だったと林さんは語った。

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

 

このように展示されている写真が素晴らしいのはもちろんだが、私は写真展の運営や展示方法にも興味があり、それらの点について多数尋ねてしまった。

これだけ多数の写真であるがギャラリーのレンタル期間を考えれば、展示準備に時間を割けないため、初日の半日を展示準備にあてると決めると、何とか午前中までに展示を終えたそうだ。それは写真仲間の手伝いを受け総勢6人で作業し、レーザー水平器の利用により作業の効率化を図ったことで実現できた。

さらに、私が疑問に思った展示方法の工夫が短時間での展示準備に大きく貢献していた。こちらのギャラリーでは上部のレールからワイヤーで吊るすか、壁にフックを釘打ちするかの選択になるそうだが、和紙を吊るそうとするとかなり大変だ。それは作業量はもちろん費用面でも。そのため、百均やホームセンターで部材を探しては、展示方法を工夫しテストを重ねたとのこと。そしてたどり着いたのはこちらの方法だった。

この写真では小型の強力磁石で大判の和紙を固定している。(私は磁石が壁にくっついているんだと思い、観覧の最初から疑問に思っていた。)

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

 

その疑問を林さんにぶつけると、実際の構造を見ながら説明してくれた。磁石を外して和紙をめくると

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

 

その下には上部の両側に金属片が取り付けられた大きなプラ板が吊るされていた。この金属部分に強力磁石がくっついていたのだった。さらに丈の長い和紙の場合は最も大きなプラ板の下部にも金属片を取り付けておけば和紙の上部と中間部を押さえることができるためその下は重力で十分に垂れる。

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

林隆久写真展 伊勢和紙に映す「ヴェネツィアの印象&憧れの山々」

 

このように容易に短時間にしかも安価に展示ができる工夫は展示のために重要な要素だ。林さんは考える苦労を楽しんでいた。

 

写真展の運営について、このギャラリーの利用料金は約3000円/日で安価である。しかし、空調は別途料金が必要だあるために空調が不要なこの時期での開催を選択した。また、こちらのギャラリーは第1から第3まであるがその中から第3を選んだのには重要な理由があった。それは、ギャラリーの中央に設置する仕切りの部材にこだわったからだった。第3ギャラリー以外では有孔ボードしか選択できず、有孔ボードでは伊勢和紙を効果的に展示できない(孔が邪魔してしまう)と判断したからだった。このように会場の選択にもかなりこだわりがあったのだった。しかし、展示準備の(ご自身で決めた)時間制限により、スポットライトを設置することはできなかったそうだ。(妥協も必要)

 

また、今までの来場者数は約300名。各人と十分にお話しできる適度な人数だと考えているとのことだった。「対応もできずにただ観ていただくだけでは申し訳ない」と。

 

以上のように、写真展示だけでなくさまざまな面で楽しませていただき、勉強させていただけた。(感謝)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です