平成29年度特別展「山田のまちと水害」(山田奉行所記念館)

2018年03月10日(土) 平成29年度特別展「山田のまちと水害」(山田奉行所記念館) (車、徒歩)

現在、平成29年度特別展「山田のまちと水害」が開催されている山田奉行所記念館(伊勢市御薗町上條)を午前中に訪れた。

伊勢市では昨年10月21日〜23日、台風21号および秋雨前線による大雨の影響で河川の氾濫や道路の冠水、家屋への浸水、土砂災害など多大な被害があった。これを受け伊勢市、特に外宮を中心とした山田のまちの水害を振り返りながら、水害からは逃れられない運命を検証し「忘れた時にやってくる災害」への対策を一緒に考えましょう。とする企画展であった。

【参考】

平成30年2月21日(水曜日)~3月31日(土曜日)
開館時間:午前9時~午後4時
休館日:火曜日
住所:伊勢市御薗町上條1602 山田奉行所記念館
電話:0596-36-8833
主な展示物
・台風21号による浸水の様子(地図、写真)
・寛保の洪水(地図、イラスト、被害状況)
・山田三方及び山田奉行の対応

寛保の洪水と今回の被害を比較し、山田のまちの逃れられない運命を検証します。そして、「忘れた時にやってくる災害」への対策を一緒に考えましょう。

 

山田奉行所記念館に到着すると見慣れた長屋門をくぐり

山田奉行所記念館(伊勢市御薗町上條)

山田奉行所記念館(伊勢市御薗町上條)

 

記念館へ入った。

山田奉行所記念館(伊勢市御薗町上條)

山田奉行所記念館(伊勢市御薗町上條)

 

通常展示には脇目も振れず、いつも企画展示が展開される部屋へ進んだ。

平成29年度特別展「山田のまちと水害」(山田奉行所記念館)

平成29年度特別展「山田のまちと水害」(山田奉行所記念館)

 

部屋の中央には二つの島が作られ、その手前には山田原の地形、勢田川周辺の湛水と地形コーナーが設定されていた。

山田原の地形、勢田川周辺の湛水と地形コーナー

山田原の地形、勢田川周辺の湛水と地形コーナー

 

また、この部屋に入って右側の隅には昨年の台風21号での浸水被害地図と当時の写真が貼られ、その左側には下水道施設管理図(雨水)が示されていた。

下水道施設管理図(雨水)と2017年大風21号による浸水実績図コーナー

下水道施設管理図(雨水)と2017年大風21号による浸水実績図コーナー

 

さらの部屋の奥には、寛保洪水記の説明コーナーが設置され、壁面には特徴的な出来事がイラスト化されていた。これはとても分かりやすい。

寛保洪水記の説明コーナー

寛保洪水記の説明コーナー

さらに寛保洪水記の一部が紹介されるとともに

寛保洪水記

寛保洪水記

 

イラスト化された出来事が発生した地点が地図にて示されていた。文章からイラストさらには地図へと繋がることによりさらに現実的な体験に近づいた。地図を見ただけで水のパワーと恐ろしさが明らかだ。

寛保洪水記説明図

寛保洪水記説明図

 

またその左隣りには、以前にも目にしたことがある宮川堤防之図が紹介されていた。

宮川堤防之図コーナー

宮川堤防之図コーナー

 

ここにあるように江戸期に入ると山田奉行を通じて公儀の力で計画的に規模の大きな堤防が築かれた。江戸期の宮川堤防の様子を俯瞰できる貴重な資料とのこと。

宮川堤防之図の説明

宮川堤防之図の説明

 

宮川堤防之図(模写)

宮川堤防之図(模写)

 

【参考】

 

こちらは江戸期の代表的な風水害と治水:年表。

江戸期の代表的な風水害と治水:年表

江戸期の代表的な風水害と治水:年表

 

なお、伊勢市のホームページには次のリンクがあった。

【参考】

 

続いては、お白洲側の障子前に並べられていたのがこちら。江戸期の甫蔵主(ほとす)川絵図だった。

江戸期の甫蔵主(ほとす)川絵図

江戸期の甫蔵主(ほとす)川絵図

 

こちら絵図には思わず魅入ってしまった。これは今まで名前が分からずに過ごしていた伊勢市一之木にある池、勢京ビジネス専門学校の隣にある池だった。それが現在は甫蔵主池となっていた。つまり、この流れが甫蔵主川だ。さらにここで疑問がでできたので、同館の辻村さんに質問したところ、北宮川は甫蔵主川の上流側で横浜ゴム三重工場の敷地の北側に今は使われていない浄水場跡がありその辺りから流れていたこと、さらに先日気になった排水路が小柳川であることを教えていただいた。

これで以前から疑問に思っていたがことが解消された。よく見かける記述では「桧尻川は別名が多く、北宮川・甫蔵主川・小柳川とも称した。」 とあるが、その区別ができずにいたためどの区間を○○川と呼べば良いのか困っていた。例の池の畔にホトス川揚水機場があるのは知っていたがまさかあの池が甫蔵主川だとは想像できずにいたからだった。(早速、歩いてみよう!)

 

素晴らしい情報を手にしてしまった。さらにこちらは中央に作られた二つの島の奥にある島だった。このコーナーには1/2に縮小された「山田地図」が展示されていた。これを眺めるとこれは最近多用しているスマホアプリ「伊勢ぶらり」に掲載されている山田衢々之図とそっくりだった。

山田地図(伊勢ぶらりの山田衢々之図?)

山田地図(伊勢ぶらりの山田衢々之図?)

 

まさに、「伊勢ぶらり」を手にして川の跡を辿れと言われているように思えた。

 

その他にも勾玉池の図面などが展示されていたが、そろそろ私自身のタイムリミットが近づいてきたので記念館を後にすることにした。

 

長屋門を出ようとしたその時、お白洲側を望むとカラフルな船が目に入った。

山田奉行所見回船1/2再現モデル収蔵庫とお白洲(山田奉行所記念館)

山田奉行所見回船1/2再現モデル収蔵庫とお白洲(山田奉行所記念館)

 

時間は無いものの気になったのでパチリ。こちらは山田奉行所の見回船を1/2サイズで再現したものだった。

山田奉行所見回船1/2再現モデル(山田奉行所記念館)

山田奉行所見回船1/2再現モデル(山田奉行所記念館)

 

興味深い企画展、詳細については現地でご確認を!

 

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