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JPS展(名古屋展)・作品講評会・講演会「写真の著作権がわかれば肖像権なんか怖くない!」

2018年06月23日(土) JPS展(名古屋展)・作品講評会・講演会「写真の著作権がわかれば肖像権なんか怖くない!」 (JR,徒歩)

久しぶりに名古屋を訪れた目的はJPS展を初めて観覧し、さらには「写真の著作権がわかれば肖像権なんか怖くない!」講演会を拝聴するためだった。

大曽根駅周辺を歩きまわり徳川園で予想以上に時間をかけてしまったので、JPS展の会場である名古屋 市民ギャラリー矢田(カルポート東)を目指して急いだ。途中で雨に、しかもバタバタと音をたてて傘に打ちつけるような雨。

講評会と講演会は別の場所で13時から開始されるというのに、こちらに到着したのは12時半を過ぎていた。

名古屋 市民ギャラリー矢田(カルポート東)

名古屋 市民ギャラリー矢田(カルポート東)

 

会場は3階と4階にあり、受付は4階だった。まずはこちらの入口を入ると

名古屋 市民ギャラリー矢田(カルポート東)

名古屋 市民ギャラリー矢田(カルポート東)

 

【JPS展(名古屋展)】

受付を済ませた。会場の雰囲気を伝えたいので受付にて「ネットで紹介したので会場の雰囲気を撮影してもいいですか?」と確認したところ「受賞者なら受賞作品の展示のみを撮影できるが、それ以外の方は撮影できません。このポスターなら大丈夫ですよ。」とのことだった。

大丈夫であるポスターをパチリ。(突然の大雨でレンズが曇っていた。)

JPS展(名古屋展)の会場、4階受付にて

JPS展(名古屋展)の会場、4階受付にて

 

受付を済ませると4階から3階へと急ぎ足での観覧となった。展示写真数は500枚を超え、人混みが苦手な私には写真であっても全てをじっくりと拝見するにはかなり辛い多さだった。組写真もあるので応募数ははるかにこの十倍を超える。審査の大変さを想像した。

印象に残ったのは上位受賞作品に組写真が多いこと。また長い時間を組写真に封じ込めた作品「何時迠も続く」は最後の一枚でもいいのでは。「足相」も「竹林のにぎわい」も・・・

やはり、感嘆を呼ぶ美しいものよりは何かを考えさせてくれる作品が面白い。

そうそう、18歳以下の「おとなのひと」も惹かれた。それは18歳以下の限定があったからであるが。

 

20分ほどの急ぎ足での観覧を終えると別会場である名城大学ナゴヤドーム前キャンパス南館へ移動した。(なんとか開始5分前に到着)

名城大学ナゴヤドーム前キャンパス南館

名城大学ナゴヤドーム前キャンパス南館

 

【JPS展(講評会)】 13時〜

山口勝廣さんにより上位作品を中心とした講評が示された。ここでは作品は掲載できないので語られたキーワードを中心に紹介するにとどめる。(私のメモとして残すため、私の感想も含まれているかも・・・)

文部科学大臣賞「里の生活」

起承転結は構成により大きく変化する。ドキュメントであり作品性を有する作品である。通いつめて時間を掛けて生活の中に写真家が入り、一員となる。また、大切な家族である牛との別れが説明不要で表現されている。忘れ去られようとしている農村の土に生きる人々の生活をうまく捉えている。

東京都知事賞「竹林のにぎわい」

最初「いったい何なの?」と思った。竹は急速に育つ。自然を観察する目。作品に小動物がいる、見えてくる。また音が聞こえてくる。

金賞「暮らしの中の祈り」

東南アジアだろうか。祈りを縦構成で捉えたことで信仰や優しを感じさせる。右側の隠れた場所に祈りの対象がいる(ある)?想像させてくれる。

銀賞「15の春」

演出ではできない目。訴求力がある。被写体の関係者なのか、とにかく肖像権については考えずにまず撮ることが重要だろう。肖像権等については後で承認を得ればいい。また、ストレートに対象と捉えたタイトルが良い。説明的ではダメ。

銀賞「肢体」

ドキュメント。厳しさを感じさせる。

銅賞「祈願」

組写真を定点で撮っていて、(仏?)像に対する各人の手の形でそろぞれの思いを物語っている。

銅賞「大地とアスリート」

スポーツ写真。雪が降りしきる中、ジャンプするスキーヤー。自然条件をうまく捉えた。さまざまな条件の中その時にしか撮れない写真を撮るには粘り腰、執着心が重要だ。

銅賞「最後の春」

なくなる校舎と桜の花。さりげない風景に目が行くのか? 写真家としての目。

奨励賞「鵜潜り漁」

海外での鵜による漁。鵜の首に紐を付けなくても戻ってくるのか?
水面に頭を出す鵜と視線が合う一瞬、対話しているようだ。カメラは水面ギリギリなのでファインダーを覗けない。なかなか撮れないモノ、シリーズ化すればスゴイ。

奨励賞「小さな観戦者」

相撲の朝稽古を見学する小さな子どもたち。子供を集団でうまく捉えている。帽子が語りかけ、子どもたちの表情や心が読める。集団の面白さを表現した気取りのない作品。

奨励賞「光のシンフォニー」

名画の世界のようだ。鹿がいるのといないのでは大違い、鹿が来るまで待って撮影したそうだ。深い森の様子がよくわかる。鹿が警戒していない。

優秀賞「何時迠も続く」

姉妹のひな祭りのドキュメントで成長の記録、定点観測でもある。身内だからできたのだろう。

優秀賞「雪簾」

雪を楽しむ、明るい。

優秀賞「為す術無し」

突然の激しさ。いつ何が起こるかわからないのでカメラは常に持っていないといけない。

入選「足相」

注目度を上げる。日常ではない。

入選「雷鳥のいる風景」

この作品についてメモが残されていなかったので、先の作品の講評も含めて私のメモを。

JPS展(名古屋展)講評会でのメモ

JPS展(名古屋展)講評会でのメモ

入選「冬至の頃」

ここは妻籠宿の脇本陣奥谷だろう!? 逆光を使う美しさ。何度も通ったのか、この光が差す時間を知って訪れたのだろう。

入選「必殺剣」

一瞬を捉えた力作。竹刀がしなった瞬間を見事に捉えている。背景が白いのは・・・(会場にいた作者の代理の方から説明によるとソフトによるデジタル処理で真っ白に加工したとのこと)

18歳以下入選「旧金山町」

U18にしては日本的、古風な。人がひとりもいないのが気になるが。ドキュメントは同じ距離感よりもアップも。

以上、制限時間ギリギリまで講評が続いた。

 

 

【講演会「写真の著作権がわかれば肖像権なんか怖くない!」】 14時〜

最近注目されているテーマである。本講演会は次の二部構成で実施された。

第一部 「著作権と肖像権、プライバシー権」について
 講師
 弁護士 近藤美智子
第二部 「写真コンテスト応募要項の問題点」について
 「状況別に考えるスナップ写真」実践ガイド
 講師
 佐々木広人(『アサヒカメラ』編集長)
 近藤美智子(弁護士・虎ノ門総合法律事務所)
 加藤雅昭(写真家・日本写真家協会著作権担当理事・日本写真著作権協会理事)

   (スクリーンに映し出される写真の関係で写真撮影および録音は禁止)

 

本講演会はJSP展(東京、名古屋、大阪)で3回実施される(た)。第二部については、すでに終了した東京展での抄録がアサヒカメラ2018年7月号pp.164-169に掲載されている。内容についてはアサヒカメラをご覧いただくこととし、ここでは私のメモを残すに留める。

また、アサヒカメラ編集部から『写真好きのための法律マナー (アサヒオリジナル) ムック』が発行されている。

 

【第一部 「著作権と肖像権、プライバシー権」】

20分ほどの短い時間であったが、近藤美智子弁護士より著作権・肖像権・プライバシー権のなかでも写真に関係する点について平易な言葉でわかりやすい事例を交えながらの説明があった。

気になった点は、
一概には言えないが、著作物の写り込みで権利侵害となるかならないかの目安は画面の10〜20%である。誰でもが自由に出入りできる屋外にある著作物は撮影しても問題なし。ただし、肖像権やプライバシー権に関連するモノを含めると例外となる。(その時に私が考えた例では、洗濯物が干されたベランダ、表札の掛かった玄関など)
肖像権およびプライバシー権は法律で定められた権利ではなく判例で認められた権利である。肖像権には撮影および公表の二種類、勝手に撮影されない権利、撮影したものを公表されない権利がある。
つまり、(1)撮影×、(2)撮影○ 公表×、(3)撮影○ 公表○ の3パターンが存在する。よって撮影OKだからと言っても公表OKとは限らないのでSNS等への公開には注意が必要である。

 

【第二部(1) 写真コンテストにおける応募時の注意点】

写真コンテストの募集要項には酷いものでは応募しただけで応募者の著作権が主催者に移転するなど応募者の権利を奪い取るような問題のあるものが多くなっている。それは企業や団体が広報活動用の写真を容易に安価に集め、自由に使いたいとの思いが反映されてのことだろう。このように写真コンテストの募集要項は重要な内容が書かれている契約書である。長々と詳細に書かれているため全てを読んでから応募する人は少ないだろう。できれば著作権の項だけでも詳細に確認する姿勢が必要だ。

 

【第二部(2) 状況別に考えるスナップ写真でに肖像権】

スクリーンに映しだされた写真に対して3名の講師が解説した。ここでは私のメモを・・・

路上スナップ

肖像権の観点からアウトかセーフかは、まずは個人を識別できるか否かによる。識別できる要素としては顔や容貌など。

そのため同じ写真でも見せるサイズにより可否は変化する。スクリーンに大写しされたサイズでは個人を識別できてもアサヒカメラのコンテストで誌面に掲載された小さな写真では識別できないかもしれない。なお、最近は撮影機器の性能が向上しているため、拡大すると詳細に識別できるなど注意も必要だ。

路上スナップ(目線あり)

黙示の同意があると考えられるので撮影はOKだろうが、発表については許諾が必要である。発表先がどこであるのかも問題となるため、許諾を得るための問いかけの準備も必要だ。

また、黙示の同意を確認できなくても撮らないと始まらないので、リスクを引き受けたうえでまずは撮ることも必要だろう。

路上パフォーマンス

黙示の同意があると考えられる。

路上パフォーマンスの舞台裏

(事例が先に紹介したアサヒカメラ2018年7月号にイラスト入りで紹介されている)

たとえば、コスプレーヤーには舞台裏(変身している(着替えている)場面など)は撮らないとの暗黙の了解があるようだ。また、お祭りや巫女さんには撮られたくない場面があるなど肖像権以前に踏み込んではいけない領域があるようだ。

もし肖像権的にはギリギリセーフで快い写真ではない?
過剰反応とも思われるが世の中にはさまざまな反応があるので公開には注意が必要だ。

後ろ姿

(事例が先に紹介したアサヒカメラ2018年7月号にイラスト入りで紹介されている)

普通では全く問題ない写真でも、取り巻く状況によりNGとなるのだから怖い。

群衆

東京マラソンのようなイベントでは皆が撮られることを承知していると考えられる。

お祭り

引きの写真では群衆になっても寄りの写真では黙示の同意には疑問が残る。たまたま写された瞬間が当人にとって撮られたくない瞬間だったかもしれない。それは本人にしかわからない。

特に被写体と撮影者の距離感が重要でお祭りの構成員になって人間関係を作ってしまえば全く問題はない。何度も足を運ぶなど努力が必要だ。

子供

未成年の子供は両親の同意が必要である。

路上から店内の撮影

誰でも入れる店舗であれば問題は無いか。

露天風呂

許可を得る。

公園でのスナップ

顔が見えず風景としてならOK、ただし、公園に裸でいる人の撮影は別の意味で問題がある。迷惑防止条例を犯している可能性もあるので・・・

敷地内での撮影

撮影禁止と書かれていなければ撮影していいとは限らない。その掲示で雰囲気を壊すため掲示していない場合もある。法律的なアウトセーフの判断の前にマナーやモラルに直結する。確認が必要である。

敷地内(交通機関)での撮影

鉄道会社に確認しても撮影禁止とは言われない。一律の禁止は難しいのだろう。ただし、それがOKの意味ではない。

飲食店内での撮影

敷地内なので声を掛けてから撮るのがマナーである。声を掛けたら自然な光景が撮れないとは限らない。とにかく、事後でも声を掛けることが重要だ。

他者の著作物が写り込んだ場合

屋外(不特定多数が自由に出入りできる)に恒常的に置かれているものなら全く問題ない。屋内および屋外(不特定多数が自由に出入りできない)の場合は確認が必要である。

複写

古文書の複写については、著作権は切れていたとしても所有権という別の問題があるかもしれない。

ショーウィンドウが写り込んだ場合

ショーウィンドウは屋外と判断されるため問題ない。

キャラクターが写り込んだ場合

特別はキャラクターはNGだが、個人的に撮るのはOKだろう。ただし、公開は?さらに販売すると×。

職務中の警察官、デモ、公人、故人

黙示の同意があると判断されている。ただし、状況により・・・、プラカードで顔を伏せたデモ参加者を撮るのはどうだろう?

 

などなどさまざまな場面の写真が紹介され、それぞれについて説明され次のようにまとめられた。

 

法律的なアウト・セーフの判断も重要だがそれ以上にマナーやモラルが重要だ。

皆がよってたかって同じモノを撮るからNG。

コミュニケーションにもさまざまな方法がある。アイコンタクトのみなど。

コミュニケーション力を高めて写真力を上げる!

 

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