2019年06月06日(木) 【四日市 服部】さんの逝去を悼み、「三重県の獅子舞」の上梓を祝う
昨夜、友人がFacebookにて
服部勝行さんが上梓された『三重県の獅子舞ー平成に伝わる200の舞ー』
を紹介していた。さらには服部さんが急逝されたことも・・・
「獅子舞」「服部」の二つのキーワードから私は頭に【四日市 服部】さんのことを思い浮かべていた。
この方が私の知る服部勝行さんなのか? 半信半疑で友人にメッセージを送った。
本人であることを確認する方法は「100%確定できる方法」だった。その結果は予想通り、その方は私が知る服部勝行さんだった。
それを知った私は大いに動揺してしまった。本を出すためにillustrator等と格闘しているとは聞いていたが、ついに完成したことを喜びつつも、服部さんの訃報に大いに驚き落胆した。
この時は服部さんとの思い出を自分自身の胸のなかにしまって置こうと決意したのだった。
しかし、今日は一日中、服部さんことが頭から離れなかった。
また、2019年06月03日付の朝日新聞 DIGITALの「カフェ日和」欄において、芸能史研究家の前田憲司さんが「平成最後の日、その本は世に」のタイトルで服部勝行さんについて記した文章を見つけた。
「三重県の獅子舞~平成に伝わる200の舞~」が、平成31(2019)年4月30日に発行された。四日市市在住の服部勝行さんが、平成時代の十余年にわたり、県内各地の獅子舞行事をお一人で取材し、撮り溜(た)めた写真や動画と、関係者から聞きとったメモをもとに、そのすべてを写真入りで紹介された170ページに及ぶ大作。三重県内に200もの獅子舞が受け継がれていることにまずは驚き、歴史的背景や分類にも言及されているこれまでになかった資料性の高い本である。
地域の文化財行政は、既存施設の運営や、埋蔵文化財の発掘調査などで手一杯(いっぱい)の状況が続き、地域の文化的資源に目を向け、自発的に調査や保存継承のための行動ができないのが実情だ。まして、祭礼行事は同日に行われるものも多く、天候によっては中止も余儀なくされる。また、何度も足を運び、動きを把握していないと、いい写真は撮れない。服部さんは、行政も研究機関も成し得なかった県内の悉皆(しっかい)調査にお一人で取り組み、その成果を自費出版された。
(2019年06月03日 朝日新聞 DIGITALのカフェ日和より一部引用)
その内容を読み進めると今更ながら服部勝行さんの偉大さに気付き、「服部勝行さんの獅子舞に対する情熱とその存在を多くの方に知っていただくべきだ。」と。思い出は私の胸の中だけではなく、ブログにも残しておこうと思った。それは浅沓師の故 久田遼三さんを紹介した時と同じ思いだった。
【参考】
ところで、今までの文中には不明な点が二つあるだろう。それはタイトルに使った「【四日市 服部】の文字」と「100%確定できる方法」である。
私は、2010年からお伊勢さん125まいりを始め、そのことを契機に地元の神社やお祭りにも興味を持ち始めた。そして伊勢市内と近隣を中心に御頭神事を訪ね回ったのだった。振り返ると服部勝行さんとの出会いは2013年02月10日で、それは服部さんが拙ブログ「神宮巡々」へ次のメッセージをお寄せいただいた時だった。
キタヰ様
初めまして。県内各地で行われている獅子舞を追っかけている(ビデオ撮影)四日市の服部といいます。
高向、村松、下久具、山田寺などの神事(獅子舞)の様子が詳細に書いて貰ってあるので参考にさせていただいています。
伊勢方面では沢山の御頭神事が行われているようですので、これからも御頭神事の発信を楽しみにしています。
参考:ご存じかと思いますが伊勢市教育委員会発行の「伊勢ぶんか」2003 VOL2 に伊勢市内で行われている御頭神事が数多く記載されていました(町名と日にちだけ)(近くの図書館で借りました)
現場でお会いするのは一年か二年に1度だけだったが、忘れかけた時に服部さんからメールでさまざまな情報を頂き、いつも私はお世話になってばかりだった。現場でもお互いにバタバタと会い、バタバタと別れる。会話も束の間のような、そんなお付き合いだった。ただ、真摯に獅子舞に対峙する姿は今でも忘れない・・・。
また、メールに記された署名は最初「服部勝行」であったが、しばらくすると「四日市 服部」となっていた。そのため、私にとっての服部さんは【四日市 服部】さんとお呼びするのがしっくりと来るのだ。
その後もメールでのやり取りは続いた。
この文章を書きながらも一連のメールを読み返し、目頭が熱くなった。
そして、あれは2017年07月25日のメールだった。
こんばんは。
以前にお願いしました、自費出版を予定している獅子舞写真集に貴ブログの
写真を利用させていただきたい件ですが下記の写真をお願いできないでしょうか。写真ナンバー・・全て2014年4月6日(鳥羽の「獅子と天狗の舞」)
下3ケタの数字
242,347,567,576、666 の5枚です。解像度は 1280X960ピクセル以上あればOKです。
一方的なお願いで恐縮ですがよろしくお願いします。
**
費用を安くするため原稿作りも自分でしようと考え資料作りを始めました。
イラストレーターにチャレンジし始めたが分からないことだらけでなかなか
前進しません。
壁にぶち当たったときはネット情報を活用してその都度解決しています。
何とか来夏ごろまでに出版したいがどうなることか分かりません。
そして、提供させていただいた写真がこれら。 2014年04月06日 鳥羽の「獅子と天狗の舞」
「100%確定できる方法」とはこれらの写真が「三重県の獅子舞」に掲載されていることだった。友人に該当ページの写メを送ってもらったところこの中の四枚が掲載されていた。それにより私が知る「服部勝行」さんであることが確定できたのだった。
ところでなぜに私に写真提供の依頼があったのか、もし写真を撮っていなくても動画から切り出すこともできただろうに・・・。実は私も参加させてくださる思いやりだったのかもしれないと勝手に想像している。(感謝)
なお、こちらは服部さんが撮影した映像から切り出してくれた(私は獅子頭に噛まれる)写真で、2014年01月11日 世木神社の御頭神事(伊勢市吹上)にて撮影されたものだ。
さらに、こちらのリンクには服部さんからのコメントが残されている。
【参考】
- 案山子に呼ばれて再訪の花開道(伊勢市津村町) 2015年05月24日
- 【お知らせ】 城田神社の御頭神事は2月11日(上地っこ さん より)
- 伊勢大神楽・増田神社総舞奉納(桑名市太夫) 2017年12月24日
※この記事を投稿した後で、過去の写真から服部勝行さんのお姿を探したところ数点が見つかったのでここに紹介しておこう。(20190608に追記)
服部さんには今まで数度しかお会いしていないのだが、思い出の多さに驚いている。
改めて、服部勝行さんのご冥福をお祈りし、念願であった「三重県の獅子舞」の上梓を祝う。
最後に、服部さんが三重県内の獅子舞を悉皆調査した成果の一端を紹介しておこう。
【参考】
(合掌)