高向御頭神事 祷屋宅・会所・打祭り・切り祓い(伊勢市御薗町高向)

2019年02月09日(土) 高向御頭神事 祷屋宅・会所・打祭り・切り祓い(伊勢市御薗町高向) (車、徒歩)

河邊七種神社社務所での古文書の会を終えると、祷屋宅および会所での七起の舞を期待しつつ、再び伊勢市御薗町高向を訪れた。さらには一時帰宅した後、打祭り、切り祓いを拝観するために夜にも・・・。

 

まずはそれらの祭場の朝の様子を紹介しておこう。

【高向御頭神事-切祓祭場】

こちらは高向区の東の端に所在する切祓祭場で、打祭りの最後に切り祓いが執り行われる。

高向御頭神事-朝の切祓祭場

高向御頭神事-朝の切祓祭場

 

高向御頭神事-朝の切祓祭場

高向御頭神事-朝の切祓祭場

 

高向御頭神事-朝の切祓祭場

高向御頭神事-朝の切祓祭場

 

【ボンド】

続いては切祓祭場から会所方向へ西に向かい、札場を過ぎたあたり。

高向御頭神事-朝のボンド

高向御頭神事-朝のボンド

 

【参考】

 

名前の由来は知らないがここはボンド。砂を撒く場所、2箇所には

高向御頭神事-朝のボンド

高向御頭神事-朝のボンド

 

(砂)と記されていた。

高向御頭神事-朝のボンド

高向御頭神事-朝のボンド

 

さらにボンドの近くには多数の松明が準備されていた。(ほかの場所にも多数)

高向御頭神事-ボンド付近に準備された松明

高向御頭神事-ボンド付近に準備された松明

 

【追い込み小屋】

先日訪れた追い込み小屋には幕が張られ、その中ではすでに火が焚かれていた。

高向御頭神事-朝の追い込み小屋

高向御頭神事-朝の追い込み小屋

 

【参考】

 

【積木(ツムギ)祭場】

こちらは積木(ツムギ)祭場。祷屋宅で奉祭されていたオワケと追い込み小屋の入口に立てられた壁が焚き上げられ、打祭りの際に御頭がこの回りを3周する場所である。

高向御頭神事-朝の積木(ツムギ)祭場

高向御頭神事-朝の積木(ツムギ)祭場

 

以上が朝の様子で、ここからは午後4時前に訪れた時の様子。

【会所】

会所を訪れると御頭待ちの状態で、「七起の舞はかなり先になりそう。」とのこと。さらに大社の御頭はまだ祷屋宅にいるとの情報も得たので、

高向御頭神事-御頭を待つ会所

高向御頭神事-御頭を待つ会所

 

【大社の祷屋宅】

その場所を探していると散歩中の女性に出会った。たまたまその方向へ帰るということで案内していただけた。(感謝) 祷屋宅に到着すると座敷の窓側は黒山の人だかり状態だった。。その理由がわからないまま

高向御頭神事-祷屋宅にて

高向御頭神事-祷屋宅にて

 

御頭の舞を眺めていたが、

高向御頭神事-祷屋宅にて

高向御頭神事-祷屋宅にて

 

どうやら七起の舞は終わってしまったようだった。

高向御頭神事-祷屋宅にて

高向御頭神事-祷屋宅にて

 

座敷では楽が鳴らされると何かが・・・

高向御頭神事-祷屋宅にて

高向御頭神事-祷屋宅にて

 

余りにも人が多かったので祷屋宅を後にして会所まで戻った。 (後で、口取の舞が執り行われたことを知った。拝観したことがないので次回はぜひとも拝観したいものだ。)

 

【会所】

再び会所を訪れると

高向御頭神事-会所にて

高向御頭神事-会所にて

 

鏑社の御頭が姿を現していたが、どうやら七起の舞はまだまだ始まらないとのことだった。

高向御頭神事-会所にて

高向御頭神事-会所にて

 

 

一時帰宅すると、午後7時半過ぎにまたまたボンドを訪れた。

高向御頭神事-夜のボンド付近

高向御頭神事-夜のボンド付近

 

ボンドでは御頭神事が昼の部から夜の部へ移るための作業が進められていた。

高向御頭神事-夜のボンドにて御頭の着替え

高向御頭神事-夜のボンドにて御頭の着替え

 

またボンドから会所へと続く道路の壁面には多数の松明が立て掛けられ、この付近では打祭りの準備が終わっていた。

高向御頭神事-打祭りのために準備された松明

高向御頭神事-打祭りのために準備された松明

 

会所を訪れるとこの付近には次々と松明が運ばれ

高向御頭神事-打祭りのための松明準備

高向御頭神事-打祭りのための松明準備

 

積木祭場の近くには祷屋宅にあったオワケがすでに運ばれていた。

高向御頭神事-積木祭場へ運ばれていたオワケ

高向御頭神事-積木祭場へ運ばれていたオワケ

 

【参考】 オワケについてはこちら

 

しばらくすると、さらにオワケが運ばれてきた。

高向御頭神事-積木祭場へ運ばれてきたオワケ

高向御頭神事-積木祭場へ運ばれてきたオワケ

 

これで大社と鏑社のオワケが揃った。

高向御頭神事-積木祭場に運ばれたオワケ

高向御頭神事-積木祭場に運ばれたオワケ

 

オワケは積木祭場で焚き上げられるが、消防団の方に尋ねると「点火まで1時間半くらいはかかるだろう」とのこと、

高向御頭神事-積木祭場に運ばれたオワケ

高向御頭神事-積木祭場に運ばれたオワケ

 

私は積木祭場とボンドを往復していた。

高向御頭神事-打祭り前のボンド

高向御頭神事-打祭り前のボンド

 

すると、太鼓を打ち鳴らしながらボンドから会所へ向かう姿を見かけた。

高向御頭神事-太鼓がボンドから会所へ・・

高向御頭神事-太鼓がボンドから会所へ・・

 

これは何かの伝令? 神事の主催が会所から高向共盛団へと引き継がれたことを示すものだろうか?

高向御頭神事-太鼓が会所へ到着

高向御頭神事-太鼓が会所へ到着

 

再びボンドへ向かうと頭上で御頭を振る姿を見かけた。(次の写真は他のカメラマンのフラッシュに蹴られたモノ)

高向御頭神事-打祭り前のボンド

高向御頭神事-打祭り前のボンド

 

その後、御頭から紙垂が取り外されると

高向御頭神事-夜のボンドにて御頭の着替え

高向御頭神事-夜のボンドにて御頭の着替え

 

打祭りの準備が終わりを迎えるのだろう。

高向御頭神事-夜のボンドにて御頭の着替え

高向御頭神事-夜のボンドにて御頭の着替え

 

高向御頭神事-夜のボンドにて御頭の着替え

高向御頭神事-夜のボンドにて御頭の着替え

 

御頭が夜の部へと装いを変えた頃、高向共盛団の団員が御頭に向かって突進して飛びかかると御頭を奪おうとする。

高向御頭神事-ボンドにてダマシ

高向御頭神事-ボンドにてダマシ

 

それをしっかりと守るのが彼らだ。

高向御頭神事-ボンドにてダマシ

高向御頭神事-ボンドにてダマシ

 

これは「ダマシ」と呼ばれるそうだ。

高向御頭神事-ボンドにてダマシ

高向御頭神事-ボンドにてダマシ

 

高向共盛団の方からいただいたパンフレットによると「ダマシ」とは

打祭りの開始の際、ボンドでの一幕です。祷屋番宅や会所でも見ることができます。
本来、御頭を一番に挙げることができる年齢は23歳、26歳の者と定められていますが、共盛団員が年齢を偽って、我先にと安置されている御頭を奪い取ろうとします。
これを「ダマシ」と呼び、共盛団員達は「お方踊り」を唄い、「ソロタ、ソロタ」の掛け声と共に、御頭を目がけて一斉に飛びかかります。
御頭の守り手である御棚(ミタナ)が、ダマシの襲撃に備え、これを防ぎます。

である。

この「ダマシ」は何度も繰り返される。

高向御頭神事-ボンドにてダマシ

高向御頭神事-ボンドにてダマシ

 

ダマシが終わり、松明に点火されると打祭りが開始される。

高向御頭神事-ボンドにて打祭り開始直前

高向御頭神事-ボンドにて打祭り開始直前

 

会所前にある追い込み小屋へ移動すると、高向共盛団員は打祭りの開始を「今か、今か」と。

高向御頭神事-打祭りのため高向共盛団が壁を破り出る直前の追い込み小屋

高向御頭神事-打祭りのため高向共盛団が壁を破り出る直前の追い込み小屋

 

しばらくすると

高向御頭神事-打祭りのため高向共盛団が壁を破り出る直前の追い込み小屋

高向御頭神事-打祭りのため高向共盛団が壁を破り出る直前の追い込み小屋

 

提灯を手にした団員が追い込み小屋へ駆け込んできた。

高向御頭神事-打祭りのため追い込み小屋の壁を破り出る高向共盛団

高向御頭神事-打祭りのため追い込み小屋の壁を破り出る高向共盛団

 

これが合図なのだろう。団員たちは入口の壁を押し倒して駆け出した。打祭りの始まりだ!

高向御頭神事-打祭りのため追い込み小屋の壁を破り出る高向共盛団

高向御頭神事-打祭りのため追い込み小屋の壁を破り出る高向共盛団

 

ボンドへと走り去った高向共盛団員。その後に残されたこの壁は消防団員の手により

高向御頭神事-積木祭場へ運ばれる追い込み小屋の壁

高向御頭神事-積木祭場へ運ばれる追い込み小屋の壁

 

積木祭場へ運ばれる。

高向御頭神事-積木祭場へ運ばれる追い込み小屋の壁

高向御頭神事-積木祭場へ運ばれる追い込み小屋の壁

 

松明に火を着ける間に

高向御頭神事-積木祭場に点火するための松明

高向御頭神事-積木祭場に点火するための松明

 

オワケが積木祭場に移動された。

高向御頭神事-積木祭場に積み上げられたオワケ

高向御頭神事-積木祭場に積み上げられたオワケ

 

そして、ついに積木祭場への点火との時がやってきた。

高向御頭神事-積木祭場の点火

高向御頭神事-積木祭場の点火

 

点火されるやその火はまたたく間に燃え上がり

高向御頭神事-積木祭場の点火

高向御頭神事-積木祭場の点火

 

オワケにも及んだ。

高向御頭神事-オワケが焚き上げられる積木祭場

高向御頭神事-オワケが焚き上げられる積木祭場

 

ほどなくオワケは見る形もなく崩れ落ちてしまう。これで一区切りとなるのだろう。

高向御頭神事-積木祭場にて焚き上げられるオワケ

高向御頭神事-積木祭場にて焚き上げられるオワケ

 

勢いを増した炎は

高向御頭神事-炎が立ち昇る積木祭場

高向御頭神事-炎が立ち昇る積木祭場

 

さらに上へ上へと伸び、竹が弾ける音が「パン、パン」と響き渡る。

高向御頭神事-炎が立ち昇る積木祭場

高向御頭神事-炎が立ち昇る積木祭場

 

オワケの最後を見届けた私が積木祭場を後にしてボンドの方へ移動すると、燃え盛る松明に導かれた御頭が迫ってきた。

高向御頭神事-打祭り

高向御頭神事-打祭り

 

会所付近へ戻って待機していると

高向御頭神事-打祭りが始まった頃の会所

高向御頭神事-打祭りが始まった頃の会所

 

燃え盛る炎が近づいてきた。

高向御頭神事-打祭り

高向御頭神事-打祭り

 

いつも思うが、「こんなに民家に近接していて大丈夫なのか?」

高向御頭神事-打祭り

高向御頭神事-打祭り

 

そんな私の思いなど関係もなく、火勢とともに頭上で振られる御頭は勢いを増す。

高向御頭神事-打祭り

高向御頭神事-打祭り

 

ここから積木祭場へ入るとその場を三周する。

高向御頭神事-打祭り

高向御頭神事-打祭り

 

私の近くに小さな女の子がいたので、その子と同じ目線で眺めてみるとなんとも迫力が増した。

高向御頭神事-打祭り

高向御頭神事-打祭り

 

高向御頭神事-打祭り

高向御頭神事-打祭り

 

高向御頭神事-打祭り

高向御頭神事-打祭り

 

高向御頭神事-打祭り

高向御頭神事-打祭り

 

高向御頭神事-打祭り

高向御頭神事-打祭り

 

高向御頭神事-打祭り

高向御頭神事-打祭り

 

高向御頭神事-打祭り

高向御頭神事-打祭り

 

高向御頭神事-打祭り

高向御頭神事-打祭り

 

積木祭場での3周を終えた御頭はボンドへ戻り、切祓祭場へと向かう。

高向御頭神事-積木祭場からボンドへ戻る御頭

高向御頭神事-積木祭場からボンドへ戻る御頭

 

先行してボンドへ向かうと切り祓いのための松明に火が着けられていた。

高向御頭神事-ボンドにて切り祓いの準備

高向御頭神事-ボンドにて切り祓いの準備

 

太刀を肩に担いだ男性が切祓祭場へ向かう。

高向御頭神事-ボンドから切祓祭場へ

高向御頭神事-ボンドから切祓祭場へ

 

松明も祭場へ到着すると

高向御頭神事-切祓祭場付近

高向御頭神事-切祓祭場付近

 

注連縄の前の薪に火が着けられた。

高向御頭神事-切祓祭場にて

高向御頭神事-切祓祭場にて

 

切り祓いを前にカレエ(小さく刻まれた餅)がまかれる。カレエを食べると病気の予防になるとのこと。

高向御頭神事-切祓祭場にてカレイ(お餅)撒き

高向御頭神事-切祓祭場にてカレイ(お餅)撒き

 

続いて楽が奏されるなか、太刀舞の最後に

高向御頭神事-切り祓い

高向御頭神事-切り祓い

 

杉大夫(舞手)が鞘から太刀を抜くと注連縄を切り祓った。

高向御頭神事-切り祓い

高向御頭神事-切り祓い

 

その後、団員に抱えられ舞衣に包み隠された御頭が個々に切り祓った注連縄を通り抜けると

高向御頭神事-切祓祭場を走り抜けた御頭

高向御頭神事-切祓祭場を走り抜けた御頭

 

来た道とは別の経路にて会所まで駆け戻る。

高向御頭神事-切祓祭場を走り抜けた御頭

高向御頭神事-切祓祭場を走り抜けた御頭

 

両御頭が会所へ戻されると、積木祭場では高向共盛団と奉祭関係者により大かがり火を囲んでのおかた踊りとなる。その後は、会所前にて高向共盛団々長および区長による挨拶の後、万歳三唱にて高向御頭神事は終了となる。

【参考】

 

今までの拝観でパワーを使い果たした私は切祓祭場の鎮火を見届けると帰途に着いた。

高向御頭神事-鎮火される切祓祭場

高向御頭神事-鎮火される切祓祭場

 

その途上で見かけた、松明から焼け落ちた炭の小片が風に吹かれた路上を彷徨う姿が印象的だった。

高向御頭神事-生き物のように風で動き回る松明から落ちた炭片

高向御頭神事-生き物のように風で動き回る松明から落ちた炭片

 

堅実に守り伝えられている印象のある高向御頭神事であるが、高向共盛団でも今後の若者の参加に懸念があるそうだ。今の時代、どこの地域もが抱える問題であるが、こんな素晴らしい高向御頭神事を今後も続けられるよう若者の参加に期待したい。

 

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