2019年11月14日(木) 大嘗祭当日祭(外宮) (車、徒歩)
天皇陛下は例年11月23日、天照大御神をはじめ天神地祇に新穀をお供えし、神恩を感謝するとともに自らも神々とそれらを食し、五穀豊穣と国家と国民の安寧を祈られる。
なかでも、即位の礼の後に初めて斎行される新嘗祭は大嘗祭と称され、特別に設営された祭場にて秘事とされる大嘗宮の儀が執り行われる。これは天皇陛下にとって一世一代のもっとも重要な儀式である。
令和の大嘗祭は、11月14日から15日にかけ皇居東御苑に設営された祭場「大嘗宮」にて斎行された。
この重儀に先立ち、伊勢神宮においては皇祖神である天照大御神に対して大嘗祭の斎行を報告する「大嘗祭当日祭」が執り行われた。
大嘗祭当日祭 11月14日(木) 豊受大神宮 大御饌 午前 4時 奉幣 午前 7時 皇大神宮 大御饌 午前11時 奉幣 午後 2時
大嘗祭当日祭には、天皇陛下の代理となる勅使が11月8日に皇居 宮殿「竹の間」にて執り行われた勅使発遣の儀により神宮へ差遣された。なお、今回も「即位礼及び大嘗祭期日奉告祭」と同様、勅使は束帯に太刀を佩(は)き威儀を正して臨まれた。
【参考】
- 即位礼及び大嘗祭期日奉告祭 奉幣の儀(外宮) 2019年05月10日
今回の私の注目点は、祭典そのものに加え、先に紹介した勅使が佩く太刀、さらには先日の下御糸巡りの際に畠田神社で見かけた伊勢神宮カケチカラ会による懸税を確認することでもあった。
【参考】
- 伊勢神宮カケチカラ会による大嘗祭のための懸税(かけちから)づくり(多気郡明和町中村) 2019年11月04日
外宮における大嘗祭当日祭 奉幣の儀の様子をお伝えしよう。
祭典の開始30分前には外宮へ到着。
表参道の火除橋脇に設置された祭典看板にて
大嘗祭当日祭の斎行を確認する。
まずは正宮へお参りするために参道を進んでいると古殿地の奥に明かりが望めた。あれは忌火屋殿である。
お参りを終えてこの場所で待機していると小ぶりな・・・、御鑰と御匙が納められているのだろうか。
報鼓が鳴らされ、奉幣の儀の開始が告げられた。
本日は雨儀となり、修祓は第二鳥居前ではなく、五丈殿にて執り行われた。
修祓を終えると大庭を後に、参進の列がこちらへ近づいてくる。
天皇陛下の代理である勅使、祭主、大宮司・・・・と続く。
ただし、先頭は幣帛が納められた辛櫃である。
この辛櫃は例年の新嘗祭に比べ大ぶりに感じたが、それは膨張色である油単のせいだろうか? それとも特別版の新嘗祭であるために幣帛の量が多いのだろうか? その真相は・・・
【参考】
- 新嘗祭 奉幣の儀(外宮)2018 2018年11月23日
そして、こちらが太刀を佩いた勅使である。
多くの神職が・・・
勅使が太刀を腰から取り外す間、参進の列は停止していた。
参進の列が正宮へ入られるのを確認すると私は別宮へ向かった。それは伊勢神宮カケチカラ会による懸税を確認するためである。
ワクワクしながら多賀宮への石階を進むと
多賀宮の瑞垣に
伊勢神宮カケチカラ会による懸税が掛けられていた。
続いて土宮にも。
さらには、風宮にも。
風宮を後にして正宮へ戻ろうとしたところ、多賀宮へと幣帛が運ばれて行った。
秋の気配を感じながら
正宮へ進むと外玉垣にて奉幣の儀を拝観した。雨儀のおかげだろう、目の前の四丈殿から天皇陛下のお言葉である御祭文を奏上する勅使の声が微かに聞こえたような。(空耳かもしれないが)
一時間を越える充実した祭典が終盤を迎えると
参道はクリアにされた。
しばらくすると正宮からの退下となったが、勅使が佩いていた太刀はひとりの神職の手に捧持されていた。
実は、こちらの神職は祭典の最中も外玉垣の外側で座しながら太刀を捧持していた。かれこれ一時間半、上半身はこの体勢を維持していることになる。大変だが、とても名誉なことだろう。
整然と進むこの列は
別宮遙拝所の先で、斎館へ退下する祭主一行と別宮へと向かう勅使一行に分かれた。
祭典は続いていたが、出勤時刻ぎりぎりまで粘っていた私は
大御饌の儀の名残を確認してから
会社へ急いだ。