2018年10月12日(金) 太一御用船による篠島からの御幣鯛奉納(伊勢市神社港) (車、徒歩)
伊勢神宮では御饌に供する多くのものを自給自足している。神宮神田では御稲、御塩浜・御塩殿等では堅塩(御塩)、神宮御園では野菜・果実など、さらに鳥羽市国崎町の御料鰒調整所では文字通り鰒、また御饌の他にも神服織機殿神社および神麻続機殿神社の八尋殿(機殿)では神御衣(和妙、荒妙)、多気郡明和町蓑村の神宮土器調整所ではカワラケなどが・・・。
そして、御幣鯛(おんべだい)とも呼ばれる干鯛は伊勢の地からは遠く離れた愛知県知多郡南知多町篠島の地にある神宮御料干鯛調製所にて三節祭(年二回、6月と12月の月次祭と神嘗祭)のために作られている。干鯛とは内臓を取り除いた鯛を塩水に漬けた後、西風の強い日に天日で乾燥させたものだそうだ。
一度途絶えた海路での奉納は平成10年に復興され、毎年10月12日には辛櫃に納められた干鯛が漁船にて伊勢湾を渡って運ばれる。これら御幣鯛を運ぶ漁船には神宮から授けられた「太一御用」の旗と多数の大漁旗が翻っている。篠島から神社港(伊勢市)へ到着した御幣鯛は神社港から内宮までを陸路で運ばれて奉納される。
本日も、御幣鯛を積み「太一御用」の幟を立てた漁船が伊勢湾を越えて神社港に到着する。しかし今朝の天候は雲で風が強かった。
4年前は強風のために海路での御幣鯛奉納は中止され、陸路での奉納となった。そんな不安を抱きつつも出勤前に神社港へ向かった。
【参考】
- 台風19号の影響で中止となった太一御用船(海路)による御幣鯛の奉納 2014年10月12日
神社港に到着するとすでに多数の大漁旗が準備され、強風に泳いでいた。いくら風が強くてもお出迎えの準備が進められていることで、御幣鯛は海路で奉納されることを確信した。
8時15分を過ぎた頃だろうか、「神社港辰組」の幟を立てた漁船が
桟橋を離れると
御幣鯛御用船を出迎えるために伊勢湾へ向かった。
船影が点となりほど眺めていたかったが、出勤時刻が迫ってきたので
以前にお出迎えした時のことを思い出しながら神社港を後にした。
【参考】
- 太一御用船による御幣鯛奉納、神社港での歓送迎(伊勢市神社港) 2015年10月12日
会社へ到着し仕事を始めると、9時20分頃に御幣鯛御用船の到着を知らせる花火の音を聞いた。
その後、昼休みとなったのでおにぎりをくわえながら神社港へ車を走らせた。
勢田川の対岸に駐車すると早速、パチリ。神社港には6艘の御幤鯛御用船が停泊していた。
右側に4艘、
左側に2艘。さらにその左側には漁船ではない船が2艘。
一色大橋で勢田川を渡りながらパチリ。
さらにパチリ。
橋から下ると堤防壁画「御幣鯛奉納祭ノ図」を眺めながら太一御用船のところへ急いだ。
今回はお出迎えも見送りもできないので、昼休みの短い間だけでも御用船を眺めていたかった。
なお、今回はいつもと異なることがいくつかあった。
まずは「太一御用」の幟である。
停泊中の御用船には「太一御用」の幟は掲げられているが、入港の際は多くの船が幟を下ろしていたそうだ。御用船の入港を出迎え、御幣鯛とともに内宮まで行っていたと言う知人からその話を聞いた。
さらにはいつもなら見たことがない観光船または定期船のような船が同行していたことだった。
本日は海が荒れ波しぶきが激しいため、各船の船頭以外はこちらの船に乗って来たとのこと。
また、本日の強風を物語っていたのはこのような幟の姿だった。例年にない光景だ。
最後に、いつもなら見送りのための紙テープは各船まで引き込まれているが、強風を避けるためだろう、この状態で待機していた。
そろそろ時間となったので、見送りもできずこの場を後にした。
お疲れ様です。来年もよろしく!