2018年12月24日(月) 古文書「磯部まゐ里」「伊勢参宮名所圖會」に描かれた名所を訪ねて(志摩市磯部町) (車、徒歩)
先日、志摩市歴史民俗資料館で開催されている「絵図と道中記でたどる志摩への旅展」を訪れたところ伊勢参宮名所圖會に描かれた名所が紹介されていた。
【参考】
- 企画展「絵図と道中記でたどる志摩への旅展」@志摩市歴史民俗資料館 2018年11月10日
- 再び、企画展「絵図と道中記でたどる志摩への旅展」@志摩市歴史民俗資料館 2018年12月01日
以前から伊勢参宮名所圖會で紹介されている猿田彦森を訪れたいと思っていた。しかしその場所がわからずにいたところ、この企画展を再訪した際に資料館の館長である﨑川由美子さんからその場所への行き方を教えていただいた。さらに、「磯部まゐ里」の翻刻が掲載されている本を知ることができたので、挿絵として紹介されている甑岩および鼎石大明神をも訪ねることにしたのだった。
伊勢方面から伊勢道路を走り志摩路トンネルを抜けると下り坂が続く。その下りが終わろうとする左カーブ、右側には天の岩戸口がある。後続車に注意を促しながら右へウィンカーを出すと減速し、対向車が途切れたタイミングで鳥居の前へ。ここで一枚パチリ。鳥居をくぐると天の岩戸までは神路ダムの縁に沿ったくねくねな一本道が続く。
こちらの鳥居をくぐれば駐車場は右側にある。
駐車場からは路面が苔むすほどの参道を進む。(滑らないように注意)
現在は崩れた石積みの修復工事が進められていた。
こちらがその工事現場で、川には鉄パイプを使った作業用の仮設橋が設置されていた。
工事の様子を左下に眺めながら参道を進むとこちらの鳥居の先が天の岩戸。
拝所の右側には伊勢参宮名所圖會にて示されている「瀧祭窩」と刻された石標が建っている。
この圖會には
宇治山田にてはこれを風穴という。
とあるが、後に訪れる風穴とは関係が無いのだろうか?
とにかく、こちらにてお参り。
なおこちらの建物には「更衣室」のプレートが掲げられている。滝行のためだろう?
天の岩戸を後にすると本日のメインイベントである猿田彦森を訪れた。「風穴」への案内に従い
こちらの階段を進む。
階段を上り切ると
その先には辻があり
見落としてしまいそうな道標が建っている。
直進すれば風穴へ、左へ折れてこの鳥居をくぐれば猿田彦森へたどり着けるはずだ。
鳥居の先は「逢坂峠」であることを示すこの案内板もあった。(なお、峠と逆方向へ下れば後で訪れた家建(立)の茶屋跡へたどり着くと思われる。)
今日のところは鳥居をくぐると猿田彦森を目指した。
「ここが猿田彦森か?」と思わせるような場所が何度も現れる。
所々、木々には赤やピンクのテープが巻かれており、道は一本道なので迷うことはないだろう。
「ここが猿田彦森か?」
思わず「繪會」と見比べてしまったが、常夜燈が建っていると聞いていたので「ここは違う。」と先を急いだ。
道幅が絞られるといかにも峠へ向かう山道の雰囲気へと変化する。猪のヌタ場を過ぎると前方に
光る石を見つけた。その明るさに幻惑された気分になったが
いかにもこの場所が猿田彦森、鳥居をくぐり抜けてから約10分でのご対面となった。
二基の常夜燈が建つ。周囲に柵はないものの
この場所が猿田彦森なのだ(ろう)。
御神木の根元には
小さな祠は置かれその中には「瑳婁儺秘祜大神」と陰刻された神名板がまつられていた。
さらにその奥にも別の神名板(先頭文字は「實」である)を確認できたが詳細はわからず。
帰宅後に見つけたブログにはその詳細が写真と共に紹介されていた。
【参考】
逢坂峠へと続く道はかなり荒れていたのでこの周辺を楽しむのみに止め、下ることにした。
下りは上りとは見える景色が異なる。
石の表面がやけに気になった。
これらはどのように形作られたのだろう?
些細なことを注視しながら下っていると地面に落ちている枝を踏んだ。すると、いきなりその枝の先端が立ち上がり私に迫ってきた。自分自身で引き起こした事象に自分自身が驚かされていた。その後は普段よりもさらに急ぎ足となり、かなりの速さでこちらへ戻ってきた。
鳥居をくぐり返しそのまま下って行きたい気持ちを抑える(今日は正午までにすべての巡りを終えると決めていたから)と風穴に
ちょい寄りした。
天の岩戸を後にすると伊勢道路へ戻る前にこちらにも立ち寄った。
ここも伊勢参宮名所圖繪に描かれている場所、「家立茶屋」だった。
茶屋は姿を消しているが、寛政九年(1797)に発行された伊勢参宮名所圖會に遅れること60年、安政三年(1856)12月に建てられた道標は今も残されている。
家建(立)の茶屋跡から先ほど訪れた猿田彦森方向を遠望し、鳥居のある辻からこちらへ続く山道を想像していたら
この場所に立つオオシマザクラの奥にこんな場所を見つけた。この先は神宮々域のようだが踏み跡がある。かつて多くの旅人が歩いた道なのだろうか?
正午のタイムリミットを自身に課していたため、茶屋跡にも長居はせずに伊勢道路へ戻った。神路ダムの縁を走っていると右方向に獅子岩が望めたので旧道との交差部に車を駐めると立ち寄った。伊勢道路を行き交う車に注意しながらパチリ。
ここでも猿田彦森の方向を遠望。
神路ダムを後にして伊勢道路を先へ進むと築地口 バス停とファミリーマート磯部恵利原店の間を右折した。
その道を下ると
神路川に架かる甑橋にたどり着く。これから甑岩を訪れようと思っていたのでこの近くのスペースに車を駐めると
まずは左岸の上流側をウロウロ。どれくらい探しただろうかそれらしい岩は見つからなかった。
続いては右岸側、甑橋から50mほどの場所にコンクリート舗装された坂道があったのでそこを進むと多数の不法投棄物が散乱し、地面がぬかるんでいた。引き返そうかとも思ったがもしかしたらこの先に・・?
多少の不安を抱きながらも獣道のような道(?)を進むと石積みに囲われた場所へ出た。
その広場から先ほど離れた車道方向へ戻るように進むと林道のような道に出る。左方向へ進むとこちらが甑岩? 「磯部まいり」の挿絵と比較すると
やはり、これが甑岩だった。
この絵と見比べると下の石は小さい? 土に埋もれてしまったのか?
横方向から眺めてもパチリ。
続いては甑岩の近くにあると聞いた鼎石大明神を探した。石標があると聞いたので岩と石標のペアを・・・甑岩に向かって左方向へ進むとこの奥には田んぼがあるようだったが
入口付近にこんな注意書きが置かれていた。おそらく「私有地につき立入禁止」とのことだろう。
まずは私有地には立ち入らないようにこの石垣の外側を
石垣に沿って
進んだ。周辺を何度も巡回するようにうろうろ。
この先で斜面を下ると小川の流れを確認したが
ここに示される絵に当てはまる場所を見つけることはできなかった。
そろそろタイムリミットが迫ってきたため、甑岩まで戻るとさらにその先へ進んだ。下り坂にてこのようなヘアピンを二回繰り替えすと
この場所にたどり着いた。ここは甑橋から続く道路との交差点。(先のコンクリート舗装の坂道ではなく、ここへ入れが苦労なく甑岩を見つけることができたのだった。)
道路にたどり着くと[11:59]、本日のミッションは完了した。
こちらから車を駐めてある甑橋(神路川)付近まで戻ると
振り返ってパチリ。
伊勢道路から甑橋を越えると100m先には右側へ折り返す上り坂がある。ガードレールが目印なので、ここを進め(上れ)ば甑岩はすぐ近くだ。
また、甑橋付近からは「伊勢参宮名所圖會」でも紹介されている鸚鵡岩が望める。
次回は鼎石大明神を見つけなくては!