2019年06月01日(土) 高潤生 個展「聖地伊勢」印風文字画・かな篆刻・書(伊勢和紙ギャラリー) (徒歩)
次の案内状をいただいたので、会期初日に伊勢和紙ギャラリー (大豐和紙工業株式会社)を訪れた。本日は作品の展示に加え、「書のパフォーマンス」が実施されるとのこと。「書のパフォーマンス」なんてなかなか体感できない。
高 潤生 個展「聖地伊勢」- 印風文字画・かな篆刻・書 –
会期◎2019年6月1日(土) – 6月30日(日)◎9:30 -16:30◎休館:6月9日(日)・16日(日)・23日(日)
会場◎伊勢和紙ギャラリー (大豐和紙工業株式会社 内)◎〒516-0079 三重県 伊勢市 大世古一丁目 10-30◎Tel: (0596)28-23596月1日(土) 11:00ころ、作者による書のパフォーマンスを開催
6月8日(土) 13:00と15:00よりの2回、ギャラリートーク (ご予約ください)
6月15日(土)、 29日(土) 13:00~16:00「篆刻体験会」も開催 (材料費500円)作者 高潤生 は 6月1日(土)・2日(日)・8日(土)・15日(土)・22日(土)・29日(土)・30日(日) に在廊しています。
( 伊勢和紙 IseWashi より引用 )
高 潤生さんの個展は伊勢和紙ギャラリーで二度体感しているがいつも観ごたえがあり、いろいろと考えさせられる内容である。
【参考】
- 高潤生 個展「養怡(ようい)- なごむ心を養う -」(伊勢和紙ギャラリー) 2015年06月13日
- 高潤生 個展「平安是福」印風画・かな篆刻・書(伊勢和紙ギャラリー) 2017年05月27日
なお、高 潤生さんについてはこちらでも紹介されている。
【参考】
いつものように寄り道を繰り返しながらも何とか「書のパフォーマンス」が開始される11時には間に合うように・・・。一之木公園から伊勢和紙ギャラリーの裏手を通り過ぎると階段の踊り場が望めた。ガラス越しに望む書はどんなんだろう? と想像しながら大豐和紙工業株式会社の入口へと急いだ。
ほどなく大豐和紙工業株式会社の敷地へ入ったのが10時55分。
私が伊勢和紙ギャラリーへ向かおうとすると高潤生さんをはじめ多数の方々が伊勢和紙ギャラリーを出てこちらへ向かってきた。パフォーマンスはギャラリー内ではなく、屋外で実施されるのだった。
使用される紙は伊勢和紙Art 雪色で、粗面を表にして
通路を横断するように広げられた。
「書のパフォーマンス」を前にし、高潤生さんは手に取った数個の小石を和紙の端に
等間隔に列べた。
11時を前に準備を終えたが「11時開始と記しているから」と定刻を待ってから筆を取った。
本パフォーマンスでは、新元号「令和」の出典となった万葉集の「梅花の歌三十二首の序文」の一部「于時初春令月気淑風和梅披鏡前之粉蘭薫珮後之香」にある「気淑風和(きよくかぜやわらぐ)」の四字が選ばれた。(ここでは、ビデオではなく写真でパフォーマンスを追ってみた。)
高潤生さんは一筆一筆を丁寧に書き上げた後、
落款を書した。
その後、驚いたことに今から「篆刻をパフォーマンスする」とのこと。
印材を右手に、印刀を左手に持つと
いきなり篆刻が始まった。
石材が削られる音が聞こえるや否や、微粉が飛び散る。
5分もかからずに「おだやか」の四文字が彫り上げられると
さらには文字を囲む線が荒らされた。
以上にて篆刻のパフォーマンスを終えると
「書のパフォーマンス」の仕上げとして揮毫に印を押し、
さらには先程の篆刻パフォーマンスで仕上げた印も
こちらに落とし込んだ。厚みのある本を下敷きにすると
体重をかけてしっかりと押された。
紙面から
印が外されると
これにて「書のパフォーマンス」は終了した。しかし、まだ完了ではない。
書き上げられた書は、高潤生さんおよび観覧者とともに伊勢和紙ギャラリーへ向かった。
伊勢和紙ギャラリーの玄関を入ると、受付の目の前から作品が出迎えてくれる。
先ほど建物の裏手から見上げた階段の踊り場へ進むと
こちらが観る前から私が気になっていた作品だった。
2階にあるギャラリーへの階段を上り切ると手すりの隅に
こんなカードを見つけた。そこには「気淑風和」の文字。まさに「書のパフォーマンス」で書き上げられた文字だった。
ギャラリーを覗くとその中央では先ほどの書の上下に桟が取り付けられていた。
ふたつ折りにされた書は階段下へと運ばれた。その後、上端が引き上げられると、この壁面の天井下に打たれた金具に掛けられた。
2箇所の金具に左右がバランス良く掛かると
展示も加えた「書のパフォーマンス」が完了した。
階段を下ると、見上げても素晴らしい。この壁面に作品が掛けられたのを観るのは私にとっては初めて。(ここに作品が掛けられたのは以前に一度だけとのこと。森武史さんの作品展でこの場所を使用したそうで、その時に打たれた金具が残されていたのだった。)
「書のパフォーマンス」で十分に満足してしまった私だったが、高潤生さんは「これでもか、これでもか・・・」と予定外のプチ・ギャラリートークまでが展開された。
こちらは今回のテーマである「聖地伊勢」を象徴する作品「平和の聖地」の説明(実物は壁面に展示)であり、
高潤生さんが書き上げた次の詩が描かれている。
美しい真珠の海そ
びえたつ千年の杉
すきとおる青い空 清
流がながれるのど
かな町 白石の道 おご
そかな鳥居 神聖な空
気 一花一葉に心の感動
が宿る 八百万の神に
守られ ここは平和の聖地
描かれていると言っても、実際は7cm角ほどの印材(石)に篆刻して紙に押された印をコンピュータに取り込んで拡大印刷したものである。
話は前後するが、会場に掲げられた説明によると次の通り。
伊勢和紙ギャラリーでは、高潤生展が2年に一度のペースで開催され今回で6回目となった。それぞれのテーマは「光陰を刻む」「天地相合」「心の浄土」「養怡(ようい)-なごむ心を養う-」「平安是福(へいあんこれふく)」で、今回が「聖地伊勢」である。
また、今回にテーマである「聖地伊勢」に関しては、外宮参道において令和奉祝「聖地伊勢」高潤生展 伊勢和紙行灯ストリートギャラリーが展開されている。外宮と伊勢市駅の間に設置されている行灯38基のうち26基を使って、ここでの展示と同じ内容の作品が展開されている。(開催期間:2019年5月1日〜2020年4月30日)
メインギャラリーに展示されている作品について順次説明が続けられた。
こちらが最初に説明された「聖地伊勢」。
サブギャラリーはこちら。
こちらは外宮参道で展開されている令和奉祝「聖地伊勢」高潤生展の案内。
もうお腹いっぱいになってしまった私はこの場を後にした。
作品は現場で体感するのが一番。
皆さん、ぜひとも伊勢和紙ギャラリーを訪れてください。
また、6月8日(土) には13:00〜と15:00〜の2回、ギャラリートークが実施されます。(私は参加できないのが・・・残念)
さらに、外宮参道も必見です。
【伊勢和紙ギャラリーにて、私が体感した企画展ほか】
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- 三輪薫写真展 Rock-Ⅱとワークショップ「風」写真展(伊勢和紙ギャラリー) 2019年02月16日