2020年03月27日(金) 思い込みとは恐ろしい、簀屋根は神宮用語?
先の記事で、神麻続機殿神社 (皇大神宮 所管社)の八尋殿から簀屋根が取り外されたことを紹介した。
【参考】
- 簀屋根が取り外され修繕後の姿を現した八尋殿、神麻続機殿神社 (皇大神宮 所管社) 2020年03月27日
そのことを知ったのは知人がFacebookに投稿していたからだったが、実は簀屋根が取り外されたこと以上に驚いたことがあった。
その知人の投稿には
素屋根(仮設足場)が外された姿
とあった。
私はずっと簀屋根だと思っていたが、建築関係者の知人が素屋根と記していた。
ネットで検索すると素屋根は建築用語として多数のヒットがあるが、簀屋根は自分自身の投稿しか見当たらない。頭をガツンと殴られた衝撃とはこのことだ。
私はいつから漢字を間違っていたのか?
過去の投稿を遡ると簀屋根はこちらの記事が初出だった。
【参考】 近鉄 お伊勢さん125社めぐり(第12回内宮20社) 2011年12月10日
この投稿から該当部分を抜き出すとこの通り。
別宮遥拝所の前を右手へ向かい、御稲御倉の前で御正宮の新御敷地をパチリ。覆屋の中では作業が進められているようで、木を叩く音が聞こえていた。
なお、「神宮会館メールマガジン 第 116号」には
さて、両宮御敷地に過日簀屋根(すやね)が組み上げられました。これは新たなご社殿の造営工事を進めるにあたり、足場を組み、風雨を除けるための覆い屋です。来年には簀屋根の中で作業が始まり、ご遷宮への気運がさらに高まってまいります。年末年始のご参拝の折は、簀屋根等の様子もご覧下さい。
とある。(簀屋根の工事が進められているのだろうか?)
ここにあるように、神宮会館のメルマガから引用しているから私は疑いもせずに当然のようにこの用語を使っていたのだと思う。(引用元は忘れていたが、)
しかし、建築業界では素屋根が使われているとなると一抹の不安を感じる。
はやり確信を得るためには別資料でのダブルチェックが必要だ。
手元にある確実な資料と言えば、神宮司廳広報室が発行する広報誌「瑞垣」だろう。
瑞垣(第222号) 平成二十四年 立柱祭・上棟祭 特集号 を確認すると、神宮技師である野崎芳郎さんによる「立柱祭・上棟祭と御造営について」のなかで、P.72に次の文章を見つけた。
(工程ー工作上での作業ー)
⑦建て方 それぞれの部材を順次、トロッコに載せて新宮の御敷地の簀屋根 の中へ運び込み、建ててゆきます。ここから、いよいよ新宮御敷地内での作業となります。
これで確信を得た。
素屋根が、一般的な建築用語だが
神宮では、簀屋根が使用されている。
しかし、なぜに同じものが二種類の言葉で表現されるのか? もっと奥は深そうだ。
昔は簀屋根だったかもしれないし、
素と簀の意味や語源、さらには歴史などを調べないとその真相にはたどり着けないだろう。
まずは、神宮の建築場面では簀屋根で良いが、一般的には素屋根を使うべきであることが明らかになった。ひとつ勉強になった。
勉強は今後もつづく・・・・・・・